グラナテックと従来薬の作用機序の違いは?緑内障治療点眼薬一覧表。

2016-04-19外用薬のこと

56歳 男性 眼科

Rp1 デュオトラバ配合点眼液 2.5mL
    1日1回 寝る前 両目

Rp2 グラナテック点眼液     5mL
    1日2回 右目

 

人
新人君
グラナテックって初めて見ました。
何の目薬ですか?

と今年入社の新人君が言いました。

ちょこ

緑内障の目薬だよ。新しい薬だからねぇ。

ー患者さんの状態ー
右目の眼圧が高いようで今回からグラナッテク追加。
視野検査は次回予定。

隣の病院でも最近採用になったばがりで、私もほとんど出したことないや・・。
採用になったときにどんな薬か確認しましたけど、堂々と説明できるほど知らない。
これ以上突っ込んで聞いてくるなよw
Rhoキナーゼ(Rho-associated protein kinase:ROCK)阻害薬らしいけど、そもそも何て読むの??
ローキナーゼ阻害薬でいいんだよね??ついでにロック阻害薬?

ってな訳で、従来の薬とどう違うのか図と表でまとめてみます。

緑内障治療点眼薬の作用機序まとめの図

緑内障治療薬の作用機序

緑内障治療点眼薬をまとめた表

分類 商品名
(一般名)
用法 作用機序
ROCK阻害薬 グラナテック
(リパスジル)
1日2回 1.主
PG関連薬 キサラタン
(ラタノプロスト)
1日1回 2.副
トラバタンズ
(トラボプロスト)
タプロス
(タフルプロスト)
ルミガン
(ビマトプロスト)
イオンチャネル
開口薬
レスキュラ
(ウノプロストン)
1日2回 2.副
β遮断薬 チモプトール
(チモロール)
1日2回 3.抑
ミケラン
(カルテオロール)
ベトプティック
(ベタキソロール)
ミルロ
(レボブノロール)
1日1~2回
チモプトールXE
リズモンTG
(チモロール)
1日1回
ミケランLA
(カルテオロール)
αβ遮断薬 ハイパジール
(ニプラジロール)
1日2回 2.副3.抑
α遮断薬 デタントール
(ブナゾシン)
1日2回 2.副
α刺激薬 アイファガン
(ブリモニジン)
1日2回 2.副3.抑
交感神経刺激薬 ピバレフリン
(ジピベフリン)
1日1~2回 1.主
副交感神経刺激薬 サンピロ
(ピロカルピン)
1日3~5回 1.主
炭酸脱水酵素阻害薬 トルソプト
(ドルゾラミド)
1日3回 3.抑
エイゾプト
(ブリンゾラミド)
1日2~3回

1.主・・・主流出路(線維柱帯ーシュレム管)房水流出促進
2.副・・・副流出路(ぶどう膜強膜)房水流出促進
3.抑・・・房水産生抑制

大まかには↑の図のような感じで、眼房水を作らないようにするか、追い出すかしかない訳なんですが、グラナテックの作用機序についてもう少し詳しく言うと、
主流出路にある線維柱帯細胞、細胞外マトリクス(ECM)、シュレム管内皮細胞に作用することが報告されており、これらの作用によって主流出路の流出抵抗を減少させ眼圧が下降すると考えられる。とな。
同じ1.主のサンピロは、毛様体筋を収縮させることにより線維柱帯が広がり、房水流出が促進され眼圧が下降する。
とまぁ、細かな作用機序はそれぞれ違うんで・・、気になる方はおのおの調べてくださいませ。

グラナッテクは第一選択薬?

緑内障診療ガイドライン(第4版)

によれば、

開放隅角緑内障においては、プロスタグランジン関連薬が最も優れた眼圧下降効果と点眼回数、副作用の面で良好な認容性により、第一選択薬として最も使用されている。
続いて眼圧下降効果と認容性の面で β遮断薬も第一選択になり得るが、禁忌・副作用に留意して選択する。
第二選択薬として、炭酸脱水酵素阻害薬点眼、α2刺激薬、ROCK阻害薬、α1遮断薬、イオンチャネル開口薬、交感神経非選択性刺激薬、副交感神経刺激薬などの点眼薬が挙げられる。
多剤併用時においては、配合点眼薬はアドヒアランス向上に有用である。


緑内障診療ガイドラインによれば、グラナテックは今のところ第二選択薬のようです。

まぁ、添付文書の効能又は効果に関連する使用上の注意にも、
プロスタグランジン関連薬やβ遮断薬等の他の緑内障治療薬で効果不十分又は副作用等で使用できない場合に本剤の使用を検討すること。
と書いてあるので、第一選択ではなさそうでしたね・・。

これぐらい知っていれば新人君の質問にも答えられますね。