リアルダ錠って潰瘍性大腸炎の薬が新発売。アサコールとペンタサとの違いは?
潰瘍性大腸炎患者の90%以上を占める軽症・中等症の患者に対する治療の中心は薬物治療で、特に5-ASA(5-アミノサリチル酸)と呼ばれるメサラジン製剤が第一選択薬。
そして、11月18日(金)に新しいメサラジンDDS(Drug Delivery System)製剤として、
リアルダ錠1200mg
が薬価収載され、11月28日(月)に発売されるようです。
製造販売元は持田製薬。
薬価(ブログ更新時の2019-03-24現在)は、
先リアルダ(1200) 1錠203.8円 4錠(MAX)815.2円
先アサコール(400) 1錠69.80円 9錠(MAX)628.2円
後メサラジン腸溶(400)1錠34.50円 9錠(MAX)310.5円
先ペンタサ(500) 1錠80.90円 8錠(MAX)647.2円
後メサラジン(500) 1錠45.70円 8錠(MAX)365.6円
*後発医薬品は最安の薬価を表示しています。
隣の病院でも採用を検討しているようで、先日製品紹介の勉強会に行ってきたので、ちと従来品のペンタサやアサコールとの違いを合わせてまとめておきたいと思います。
製剤見本ももらったので、昔処方してもらったテルネリンと比較w
デカっ!!
ペンタサやアサコールよりも全然デカいと思う。
ただ、メーカーの方の話では、表面がツルっとしてて意外と飲みやすいとか・・。
ホントかな??w
新しい薬と言っても、成分は同じメサラジンなんで大腸などの粘膜に直接ひっついて抗炎症作用を発揮するのは同じ。
あとはいかに小腸で吸収されずに、潰瘍性大腸炎の病変部位に到達できるよう工夫されているか。
リアルダ、アサコール、ペンタサの違いは?
ペンタサだけはちょっと別。
リアルダとアサコールはpHが7以上となる小腸の末端から溶け始めるよう設計されているのに対し、
ペンタサは、エチルセルロースでコーティングし、小腸から大腸全体に放出するよう製剤設計された放出調節製剤。
エチルセルロースって小さな穴がたくさんあいているので、そこから薬剤が少しずつ出てくるようです。
潰瘍性大腸炎だけなら小腸から薬が放出されてはロスになってしまいますが、炎症が広範囲に及ぶクローン病だと小腸から効果を発揮できるので、ペンタサだけクローン病の適応があります。
さて、問題は両方ともpH依存性のコーティングのリアルダとアサコールの違い。
リアルダとアサコールは何が違う?
溶け始めるのはどちらもpHが7以上となる小腸の末端付近ですが、リアルダは溶け終わるまでの時間が長く、より奥まで薬を運びます。
つまり、大腸全域へ持続的に薬を放出するよう設計されています。
以下の図は持田製薬からいただいた製品紹介の資料をスキャナで取り込んだものです。
図の通り、リアルダは崩壊開始から崩壊完了までの時間が長いのがわかります。
なので、1日1回の服用でOK。
ということですね。
さらに、炎症が肛門に近い直腸炎型にも効果的なんです。
アサコールは1日3回です。
リアルダが薬剤を持続的の放出してくれる秘密は?
親水性基剤と親油性基剤のマルチマトリックス(MMX)テクノロジー!!
小腸末端で錠剤のコーティングが溶解し、腸液が侵入すると親水性基剤がゲル化して膨潤しメサラジンの放出を緩やかに。
親油性基剤が腸液の侵入を抑え、錠剤が一気に崩壊するのを防ぎメサラジンの放出がより緩やかに。
ゆえに、持続的な放出を実現できたんです。
うーん、とってもデリケートそうな仕組み。
やっぱり吸湿により溶出性に影響を及ぼすため一包化は不可と添付文書に記載ありますね。
って、その前にデカすぎて分包機に引っかかってしまいそうw
そして・・・、
まさかの冷所保存!!
(インタビューフォームの有効成分の各種条件下における安定性より抜粋)
このデータを見ると3ヶ月は常温でも問題なさそうなので、渡した後は常温でも大丈夫そうな感じ??
・・・。
でも、メーカーの方に確認したところ患者さんにも冷蔵庫で保管するよう伝えてくださいとのこと・・。(H28年2/15追記)
まぁ、数日は全く問題ないと思いますけど。
薬局では完全に冷蔵庫に入れることになりますね。
ちなみに、アメリカじゃ、
Store at room temperature 15°C to 25°C.
(室温15°C〜25°Cで保管してください。)
って書いてましたね・・。
基準が甘めらしい。
今回はこんなところで。