ザジテンがてんかんに禁忌の理由は?他の抗ヒスタミン薬は大丈夫?
7歳 男の子 小児科 Rp1 ザジテンDS0.1% 1.2g Rp2 アスベリン散10% 0.5g |
この子、てんかんだからザジテン禁忌だね。
この禁忌いつか絶対処方出るなっと待ち構えていたぐらいにして。
ー患者さんの状態ー
てんかんで他の病院に通院している患者さん。
併用薬はセレニカR、イーケプラ、マイスタン他。
今回は鼻水や咳など症状あり、隣の病院受診。
以前、先生にてんかんの話しはしていたが、今回は特別話していないとのこと。
病院でチェックスルーしないのが一番ですが、こんなときは、
薬剤師もちゃんと活躍しております!
まぁ、疑義照会。
他の抗ヒスタミン剤は別にてんかんでもOKですよね?
禁忌ではないね・・。
そう言われてみると・・、
何でザジテンだけ禁忌なの??
まず、
ザジテンが『てんかん又はその既往歴のある患者』に対してなぜ禁忌なのか?
ノバルティスファーマのザジテンのFAQに、
脳内ヒスタミン神経系がヒスタミンH1受容体を介して痙攣の抑制系として作動していることが示唆されており、本剤の抗ヒスタミン作用により抑制系のヒスタミンの作用が阻害され痙攣を誘発させると考えられています。
また、GABAによる中枢神経の抑制系が十分に発達していない幼若児では、主としてヒスタミン系が抑制系として働いていることから、幼若児(乳児、幼児)に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与する必要があります。
てんかん患児にてザジテンの投与が痙攣を誘発したことを示唆する症例が報告されています。
とあります。
→ ザジテンがノバルティスから田辺三菱に販売移管となり、Q&A自体もなくなってしましました・・。
ほうほう、てんかんじゃなくても小児全般、観察を十分に行い慎重に投与なのね。
ザジテンの添付文書の『小児等への投与』にもそう書いてあるね。
ってか、
この説明だと全部の抗ヒスタミン薬がダメってことにならない??
まぁ問題なのは、おそらく・・、
抗ヒスタミン薬の血液脳関門の通過性とH1受容体への結合力って話し。
第1世代抗ヒスタミン薬は第2世代抗ヒスタミン薬に比べ脳内移行性が高く、脳内H1受容体の占拠率が高いと言われているので、もちろん痙攣を誘発する可能性は高いですね。
第2世代抗ヒスタミン薬は薬剤によって差があります。
アレグラやアレジオンなんかは血液脳関門を通過しにくいですが、ザジテンやセルテクトなんかは高度に脳内へ移行するので、痙攣を誘発する可能性が高くなりますね。
って、ザジテン以外の抗ヒスタミン薬の添付文書見ても、
てんかんについて触れられてるの少なっ!!
慎重投与にてんかんが入ってるは、アタラックスPとタベジールぐらい・・。
そっ、そんな・・。
まぁ、ザジテンは禁忌。
それ以外の抗ヒスタミン薬も脳の移行性が高くて、
特に小児に処方されそうな、
タベジール/テルギンG(クレマスチン)
ポララミン(クロルフェニラミン)
アタラックスP(ヒドロキシジン)
ペリアクチン(シプロヘプタジン)
セルテクト(オキサトミド)
これらは注意が必要です。
できれば、てんかんの子に出してほしくない・・。
薬剤師として必要な情報を提供できるといいですね。
んで、もう一回最初の疑問、
何でザジテンだけ禁忌なのか?
ザジテンの禁忌が改訂されたときの『使用上の注意改訂のお知らせ』を見てみましょう。
そこには、
世界中から集められた安全性情報が評価され、最新の情報が反映されている製品情報文書であるCCDS(企業中核データシート)にてんかんのある患者への投与が禁忌として記載されたこと、また国内においても、てんかんのある患者で発作の頻度が増加したとの報告があることから禁忌として追記いたしました。
ザジテンのCCDS(企業中核データシート)はスイスのノバルティスファーマ社で作成されているそうです。
世界ではこの症例多いってことかな・・??
日本での症例は1例だけ載っていました。
その中に、
ザジテン中止後、発作がヒスタミンH1受容体遮断に起因するものであるかを確認するために、脳波モニタリングを行いながらd-クロルフェニラミンを投与。
投与前と比較して、てんかん性放電の有意な増加を確認した。
これでもポララミンの添付文書ではてんかんにノータッチなのね・・。