カルシウム拮抗薬の強さ比較と特徴。L型N型T型チャネルって?
55歳 女性 循環器科 Rp1 オルメテック(20) 2T Rp2 アダラートCR(40) 1T 今回アテレック(10)1錠1日1回朝食後 ⇒ アダラートCRに変更。 |
この変更は降圧作用強くなってますよね?
そうだね。
ー患者さんの状態ー
最近、起床時の血圧が高く、今日は168/90あり降圧剤変更。
日中はそこまで血圧が高くないとのこと。
併用薬はない。
私の中の浅ーーい知識では、Ca拮抗薬の降圧作用って、ニフェジピンとかアムロジピンが強くて、他のが弱めってイメージだけど・・・、合ってる・・かい?
はっきりとしたエビデンスは持ち合わせておりません。
今回は、Ca拮抗薬の降圧作用の強さと特徴をまとめてみましょう。
2015年4月の日経DIにいい資料がありますね。
こんな感じで載ってました。
カルシウム拮抗薬の強さとチャンネル
商品名 | 一般名 | 降圧作用 | 抑制チャネル |
アダラートCR | ニフェジピン | ★★★★☆ | L型 |
ノルバスク | アムロジピン | ★★★★ | L型 |
コニール | ベニジピン | ★★★☆ | L型、T型、N型 |
カルブロック | アゼルニジピン | ★★★ | L型、T型 |
アテレック | シルニジピン | ★★ | L型、N型 |
ニバジール | ニルバジピン | ★★ | L型、T型 |
まぁ、イメージ通りアダラートとかノルバスクが強めですね。
実際どれぐらい血圧を下げるのだろう?
添付文書に記載されてる臨床成績では、
52週の長期投与試験において、
アダラートCR(40)2錠分2でベースライン(147.8/96.4mmHg)から
平均16.8/12.0mmHg低下。
ノルバスク(10)1錠分1で収縮期血圧のベースラインから
平均15.6mmHg低下。
とのこと。
ほうほう。単独MAX用量で収縮期血圧をだいたい15ぐらい下げてくれるようですね。
降圧作用の弱い薬の使い道は??
別にいらなくない??
そんなことはないですよね。
作用するチャネルに注目してください。
チャネルって何??
腎微小血管には、L型、N型、T型の3種類チャネルが存在しています。
L型を抑制すると糸球体に血液を送る血管(輸入細動脈)のみが拡張して、糸球体から血液が出てく血管(輸出細動脈)は拡張しないので、結果、糸球体内圧を上げる方向へ働いてしまいます。
一方、N型やT型を抑制すると、輸入細動脈と輸出細動脈の両方を拡張するので糸球体内圧が上がらず、腎臓が保護されるというわけです。
ただし、L型のみでも全体的に血圧が下がればそれだけ糸球体内圧も下げられるので悪いわけではないようですよ。
N型とT型のメリットは腎保護だけではなく、下肢浮腫や頻脈の軽減目的で使用されることもあるんです。
カルブロックのT型、アテレックのN型は有名かと思いますけど、他は初耳・・。
コニールのL、T、Nチャネル抑制・・トリプル!
豊富さに驚きだけど、最近の新規処方でコニールってあんま見ないな。