DPP-4阻害薬の強さ比較と特徴。機序を図で説明。ザファテック他。

2015-09-13内服薬のこと

62歳女性、内科。

Rp1 アマリールOD(1)  2T
    アクトス(15)    1T
    1日1回朝食後   14TD

Rp2 エクア(50)     2T
    1日2回朝夕食後  14TD

 
人
新人君

今回ネシーナ(25)1錠からエクア(50)2錠に変更されてましたが何でですかね?同じ系統ですよね?

っと、4月に入社した新人薬剤師が言いました。

ちょこ

うーん、何でだろ??エクアの方が効きよかったんじゃなかった?
それか、先生がエクアのデータ集めてるとか、メーカーに泣き付かれたかw
患者さんに聞いてみないと何とも・・。

人
新人君

そうですよね。じゃあ投薬行ってきます。

患者さんから変更の理由を聞いたところ、
HbA1c(NGSP)が7.1%で前回と全く同じなので、
少し効きのいい薬にに替えるとのこと。
この処方医はネシーナよりエクアの方が強いと考えているみたい。

で、実際のところどのDPP-4阻害薬が強いの!?
8種類全部比較した試験なんてあるわけないので、
それぞれのインタビューフォームを確認し比較してみましょう。

DPP-4阻害剤の効果比較

単剤療法。
食事療法、運動療法を実施しても血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、プラセボ対照二重盲検比較試験12週間時の結果を参考に比較。

薬品名 一般名 投与量 HbA1c(%)
投与前から
の変化量
プラセボ
との差
グラクティブ シタグリプチン 100mgを1日1回 – 0.7 – 1.0
エクア ビルダグリプチン 50mgを1日2回 – 0.92 – 1.20
ネシーナ アログリプチン 25mgを1日1回 – 0.77 – 0.82
トラゼンタ リナグリプチン 5mgを1日1回 – 0.49 – 0.87
テネリア テネリグリプチン 40mgを1日1回 – 0.91 – 1.01
スイニー アナグリプチン 200mgを1日2回 – 0.82 – 0.92
オングリザ サキサグリプチン 5mgを1日1回 – 0.90 – 0.82
ザファテック トレラグリプチン 100mgを週1回 – 0.54 – 0.90

グラクティブとスイニーとテネリアは効果不十分の場合増量可能なのでその量で比較しています。

この結果だけを見るとエクアが強くてトラゼンタが弱い印象を受けますね。
載せておきながら何ですけど、プラセボとの差って他人任せ的であまり参考にならない気がしてます・・。

条件は似てますが、
それぞれ投与前のHbA1cが若干違いますし、
DPP-4阻害薬同士を比較した試験ではないので参考までに・・。

まぁ、効果に大した差はないですね。
後続は何か『売り』がないときついです・・。

それぞれのDPP-4阻害剤の特徴は?

トラゼンタは胆汁排泄型で腎機能が低下した方に減量なしで使用可能。
テネリアは腎・肝の2ルートから消失されるので、腎機能、肝機能が低下した方にも比較的使いやすい。半減期が24時間と長い。純国産。
スイニーは中性脂肪やLDLコレステロールを下げる効果が高い。
オングリザは解離半減期が長く効果が持続する。
ザファテックは週1回で従来のDPP-4阻害剤と同等の効果が示されています。
こんな感じですかね。

正直、ザファテックの週1回が『売り』なのか??と思う。
飲み忘れのデメリットしか感じないんですが・・。
まだ、隣の病院では採用されてないので出したことないですが、この患者さんにはザファテックがいいかもって人が思いつかない・・。

DPP-4阻害剤の作用機序

DPP-4阻害剤の作用機序
GLP-1は、食後に小腸のL細胞から分泌され、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する消化管ホルモンです。
DPP-4阻害薬はGLP-1を分解して不活性化する酵素であるDPP-4活性を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を上昇させ、インスリン分泌促進作用及びグルカゴン分泌抑制作用を介して、血糖低下作用を発揮します。
あと、図には載せてませんが、K細胞から分泌されるGIPってインクレチンを上昇させる作用もあります。